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「安さ」の裏で起きている、農家さんとい草、そして畳屋の親子の本当の話

今日は、一人の畳職人として、日本の伝統が今どんな「現実」に直面しているか、包み隠さずお話しさせてください。当店は、安価な輸入材料に頼らず(一切使わず)熊本県産の国産材料だけで畳を作ることにこだわり続けています。しかし今、日本の畳の土台は、崩壊の寸前にあります。よく「後継者がいない」と言われますが、現実は違います。熊本のい草農家さんは、代々続く立派な田んぼを持っています。それなのに、い草作りをやめています。なぜなら、どれだけ汗を流して素晴らしいい草を育てても、安さに押されて採算が合わないからです。家族が生きていくために、い草を諦め、他の野菜を作ったり、地元の別の仕事へ働きに出たりせざるを得ない状況に追い込まれています。そして、私たち畳屋も同じです。「若い手が足りない」のではありません。この先の未来が見えない暗闇のような業界だからこそ、畳屋の親たちが、自分の子供に「後を継ぐな、外へ就職しなさい」と言わなければならないのです。我が子を想う親の愛が、結果として職人の歴史を終わらせています。「安ければ、それでいい」その選択が、日本の優れたい草農家さんから職としての誇りを奪い、畳屋の親子から未来の選択肢を奪っています。一度い草作りをやめてしまった田んぼや、一度途絶えてしまった職人の技術は、二度と元には戻せません。10年後、20年後、日本から「本物の畳」が完全に消えてしまってからでは遅いのです。どうか、ほんの少しだけで構いません。「日本の農家さんに、畳屋に、消えないでほしい」という気持ちを、忘れないでいただけないでしょうか。私たちが国産にこだわるのは、ただの頑固ではありません。この素晴らしい日本の足元の文化を、なんとか次の世代に繋ぎ止めたいという、現場からの最後の叫びです。皆さんが「国産の畳」を選んでくださるその一歩が、農家さんがい草を作り続ける理由になり、畳屋の親が子供に「この仕事を継いでくれ」と胸を張って言える光になります。本物の畳が持つ、心安らぐ香りと温もりを、ぜひもう一度、皆さんの暮らしの中で選んでみてください。

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